新型コロナウイルスは神経細胞にも侵入することがわかった

コロナに感染すると(正式な疾患名はcovid-19)発熱、咳、筋肉痛などが生じることは広く知られてることですが、最近匂いや味を感じなくなったという症状が出るといわれています。この症状を裏付ける研究があったので紹介します。このウイルス(SARS-CoV-2)は細胞に侵入するときにヒトの細胞が持っている特殊なたんぱく質(レセプター)を利用することがわかっており、これまでACE2が主なレセプターであることがわかっていましたが、新たにADAM17というレセプターもこのウイルスが利用することが判明したということです。ADAM17は神経細胞が持っているため、神経症状が出るということになります。匂いは嗅神経、味は顔面神経や舌咽神経が関係しているため、ウイルスによって機能が障害されると推定できます。とくに嗅神経は鼻腔の奥のほうに粘膜上皮に囲まれていわばむき出し状態になっているため、吸気中にウイルスが含まれている場合は直接神経内に侵入する可能性が考えられます。これまで脳炎を起こした症例が報告されていますが、今後も増加するかもしれません。

(補足)ADAM17はグルタミン酸作動性神経に、ACE2はGABA作動性神経に発現しているということです。

 

 <参考文献>

PMID 31564162

PMID 31006330

 

< 参考文献へのアクセスの方法>

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