医学情報は誰の意見を信じればよいのか。

権威ある医学部教授でしょうか。学会の会長でしょうか。テレビに出演する医師や研究者でしょうか。50年ぐらい前まではそうであったかもしれません。でも今は違います。一人の専門家の意見は医学判断の根拠(エビデンス)としては最も弱いとされます。では何を信じればよいのでしょうか。答えは論文です。特に治療法の評価は比較対象試験(RCT, randomized controlled trial)という臨床試験を厳密に実施して、その結果を論文で発表するのです。同じテーマで複数の異なる著者による論文が発表されることも多く、そのばあいはまとめて評価するのです(メタ分析)。RCTやメタ分析の結果を伝える研究者、医師、教授の発言内容は信じてもよいかもしれません。しかし人間は間違いを犯す存在ですから完全に正しいと妄信することは危険です。50年前に正しいとされたことが実は間違えであった、あるいは間違いと思われていたことが実は正しいことが今では分かっている医学知識は実際にあるのです。